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Interview

インタビュー

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気づきへの示唆が点在する場所、そして、
読者の心に刺さって抜けなくなる1冊をもたらす場所に

本にまつわるあらゆることを扱う選書集団 「BACH」代表
ミライエ長岡 まちなか図書館の選書を担当

幅 允孝 さん

札幌市の働く人のための課題解決型図書館「札幌市図書・情報館」、安藤忠雄さんが建築を手がけた大阪市の図書館「こども本の森 中之島」、早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)など、従来のイメージを覆すような数々の新しい図書館の設立を指揮・監督してきた、日本を代表するブックディレクターの1人

2022年3月当時

「まちなか図書館」にはどんな役割がありますか

様々な娯楽との時間の奪い合いの中で、本を手にとってもらうことは難しいことです。普段本から離れている人に読書を再発見してもらうきっかけとなる場所になればと思います。
紙の本はデジタルの情報と違い一度世に出ると書き直しができません。推敲に推敲を重ねた、書き手の想いと責任が宿った本は深く心に刻まれる可能性も高いです。心に刺さったページで立ち止まったり何度も読み返したり、コンテンツに対して時間をコントロールできるのも本のいいところです。五感を総動員して知らない本に触れる喜びを感じてほしいです。

どんな選書やレイアウト、分類にされますか

現在あるNDCをベースにしながら、ミライエならではのオリジナルの分類をしたいと思っています。選書と同時に重要なのが、「本の差し出し方」です。厳選された本の傍らにどんな言葉やサインをつけて、どんな環境に置くか。この館ならではの「本の差し出し方」をしてみたいと思っています。

どんな場所にしたいですか

従来の図書館の「静かで緊張感のある場所」というイメージを覆し、部分的には開放的で人とのふれあいや出会いのある、居心地のいい場所にしたいですね。外と内との境界線をあいまいにし、出入口近くでは少しざわざわし、奥に行くほど静かに本に没頭できるよう、空間が持つ雰囲気にもグラデーションをつけたいと思っています。若者に限らずいろんな世代の人や、普段本から遠ざかっている人も気軽にふらりと立ち寄れる場所にしたいですね。滞留する時間のバリエーションを何層にも想定するというか。
気づきへの示唆が点在する場所、そして、読者の心に刺さって抜けなくなる1冊に偶然出くわす場所にしたいです。

今回のインタビューワークが選書にどのように関わってきますか

1人でしか読むことができない本という単位の小さな世界では、ユーザーとなる1人ひとりの声が重要です。各世代の声を聞くことができ、どんなジャンルの本をどれくらい置くか、どれくらいの深度にするか、文字サイズや本の重さなど身体的負荷も含めて参考になりました。これまで考えた配架が今日のみなさんの話とマッチするか再検証してみます。
今日は図書館の在り方についての意見が多かったように思います。「図書館は閉鎖的」「今までの図書館は入りにくかった」などの声や、コミュニケーション誘発を促すのに「図書館」という呼び方自体に疑問を持つ方もいました。図書館の硬直したイメージをしなやかでやわらかいものにしないと、どんなによい場所を作っても皆さんには届かないのではないか、というよい示唆をいただけました。

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